靫葛

覚書。

親兄弟が洗脳されている話。2

1はこちら

srmrutsubo.hatenablog.com

 

家庭の崩壊

1に書いた通り、僕の家族は両親と3人の妹弟たちです。

「先生」に師事している妹1と弟のほかに、妹2がいます。

妹2は中学生。しかし、ここ1年ほど、学校に行っていませんでした。

理由は聞いていないけれど、学校に行かなくなって(いけなくなって)妹はリストカットやら解離性同一性障害など、精神的な病気がいくつか見られるようになりました。

何もないときは至って元気に、家でアニメやらゲームやらに熱中しているんですが、一度モードに入ると押さえられないようで、実家に帰ると傷の増えている腕を見ては、心配していました。

 

加えて、同じタイミングで父が仕事に行かなくなりました。

数年前にもあったことですが、父は昔からうつ病を患っており、良くなったり悪くなったりの精神状態の中仕事を続けていました。

久しぶりに限界が来たのか、半年ほど休職して、妹と二人で自宅警備員をしていました。

3月に入ってから二人とも学校と仕事に復帰しましたが、まだまだ予断を許さない状況ではないか、と思っています。

 

その状況で、たった一人で家庭を支えていたのが、母でした。

 

僕も、妹も弟もおらず、一人で朝から晩まで働いて家に戻れば、アニメやゲームをしてダラダラしている父と妹がいる…

考えるだけでイライラするでしょう。ムカつくでしょう。

そのうえ祖母が入院し、父も世話をしていたもののやはり細かなことは母が世話することもあり、母の疲労はピークに達していました。

毎晩かかってくる電話。母の愚痴に付き合いながら、実家に戻るべきかとは考えていました。

しかしこちらも仕事を持っている身であり、家族という柵・大嫌いな田舎から逃れたくてわざわざ実家から僻地(実家も僻地なんですけどね)に逃げた身。

心の底から戻りたいとは思っていませんでした。

 

母の家出。妹の異変。

いよいよ腹に据えかねたのか、2月の半ば頃、母は家出しました。

学校に行かない妹、仕事に行かない父、愚痴を聞くだけで帰って来ようともしない僕。全てに怒り、家を飛び出しました。

家出してすぐ、「家出したから!!」と電話をかけてきたので、僕は慌てて実家の妹と父に連絡を取りました。

妹2に学校に行けと急かし、学校の用意をさせ、父の復職の予定を聞いて母と話をするように諭しました。

そして、当然の流れで妹1にも連絡を取りました。

「おかん、家出したらしいよ」

すぐに電話がかかってきて、妹1はこう言いました。

「おかん、やったな!!マジで家出してよかったわ!!ずっと言い続けてきたかいがあったわほんま!!」

 

僕は、耳を疑いました。

 

妹との戦い

そのあと、母は近くに住んでいる妹と弟の家で一夜を過ごし、家に帰らないまま仕事をしていたそうです。

僕はそのあとから、妹1と連絡を取るようになりました。

もともとヒエラルキーの底辺にいた僕と父は、妹1が家を出てからとほとんど連絡を取っていませんでした。

連絡を取る用事もないうえに、連絡を取ればくどくどと説教をされて面倒だからです。

思えば、そのころから妹は家族を「変えよう」としていました。

そして、真っ先に変わったのが、「母」でした。

家出の後、妹の家に行った母は、そこで「先生」と連絡を取ったそうです。

先生と話をし、先生に諭され、先生の考え方を聞き、妹に今までのことを怒られ、その結果、「私も変わらなきゃ」と思ったと、明るくなった声で言っていました。

そして、母と妹による「僕を変えよう大作戦」が幕を開けたのです。

 

僕を変えよう大作戦

僕は前述の通り、高校生の時半年間不登校児になりました。

理由は単純明快で、クラス内にいじめがあり、1人が退学まで追い込まれたにもかかわらず何もしなかった自分と、「退学したんだって^^」とへらへら話すクラスメイトへの怒りとがぐちゃぐちゃになって、自分の思考を止めることでしか自分を守ることができなかったからでした。

「あいつらと同じクラスだと思われたくない」

狭い田舎の中で、こういったスキャンダルじみた事件はあっという間に噂になります。

1人の人生を壊しておきながら、クラスメイト達は何のお咎めもなく有名私立へ推薦で合格を決めていく。この人たちの人生も、自分の人生も何も壊れない。壊れたのはやられた子だけ。

ものすごく不公平で、世界の汚さに頭がおかしくなりそうでした。

今考えれば、いじめから逃げたのは僕だったのでしょう。

そして、僕は半年間学校に行きませんでした。

朝遅く起き、昼間は家事をして夜中まで起きている、そんな生活を半年間続けました。

代償として、出席日数が足りず希望の大学は受験資格すら与えられないことがわかり、どこかほっとしたのを覚えています。

勉強もついていけていなかった上に、友達も少なかったこともあり、進学クラスにいながら、私立の短大を受験する気楽さに身を落としました。

 

これが、「先生」の言う「逃げ」なのでしょう。

 

母の家出からあと、まずは妹が、そして母が、「過去と向き合え」と毎晩毎晩電話をかけてきました。

それは時に怒鳴り、時に甘い声を出し、時に泣きながら、僕の思考を変えようとするものでした。

朝の4時ごろまでずっと怒鳴られ続けたこともあります。

 

僕は学校に行かなかったことを「よかった」とは思っていないものの、人生経験として「経験しておいてよかった」と思ってはいます。

だから僕は、自分の過去を隠すことはしません。話す中で学生時代に言及が行けば必ず「高校時代不登校でさ」と話すようにしています。

 

でも、これでは向き合ったことになっていないらしいのです。

 

毎晩続く電話の中で、僕は徐々に洗脳されていきました。

当時、怒涛の勢いで言われる話の内容をメモしていたものがあったので掲載してみます。

言っていることは至極全うで、そして僕の生きてきたこれまでと、今生きていることすべてを否定するものでした。

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正直、今読み返しても高校に行かなかったことに関して、言われていたことの半分も理解ができていませんでした。

だから、メモと同時にネットで調べて、「過去の向き合い方」「自分の認め方」みたいな記事をクソほど読みましたし、自己啓発本もたくさん読みました。

 

ふと浮かんできた疑問

今僕は在宅で仕事をしていることもあり、電話が鳴ればある程度はとることができました。

しかし、妹と母の電話攻撃は朝から晩まで鳴りやまず、僕は仕事に集中できなくなってきていました。

母も妹も言いました。

「きちんと学校に行って、自分の過去を認めていれば、”こんな仕事”にはついていなかったんじゃないの」

「学校に行かなかったことでお前が家族を全部壊した。そんな兄弟はいらない」

「きちんと過去を認めて、正しくなったあなたと『家族』になりたい」

 毎日毎日、過去も現在も否定され続け、考えろ考えろと言われる日々。

思考なんてもう、停止していました。

 

本当に、今までの僕は間違っているのだろうか。

今の僕は、おかしいのだろうか。

誇りを持っている仕事に対して「こんな仕事」って言われたことは侮辱されているのではないだろうか。

不安になった僕は、「誰かに相談する」ことを選びました。 

 

「あなた、洗脳されかけてるよ」

毎日の電話攻撃と精神攻撃に、僕はすっかり参っていました。

 

なぜ過去をそこまで言われなければならないのか。

正直、「高校に行っておけばよかった」と思ったことはもちろんありました。

それでも、進学した短大でいい友人と先生に恵まれ、就職についても浪人することなく新卒で正社員として働くことができ、うつ病になって転職はしましたが今の会社では責任あるポジションにつかせてもらい、周りの人にも恵まれてのびのびと仕事することができています。

少なくとも、「こんな仕事」と揶揄されるような仕事ではないと思っています。

 

そして僕は、尊敬している上司にこのことを相談しました。

その方はかなり苦労して人生を送ってきている方で、僕の話も「そういうことあるよね~!!私も同じようなことあったよ」と聞いてくれていました。

しかし、話す中で「自分が間違っているんでしょうか。考えても考えてもわからないんです」と言った瞬間、豹変しました。

 

「あなたは間違ってなんかないよ!!あなた、今お母さんと妹さんに洗脳されかけてるよ!同じ道に落ちそうになってるよ!!!」

 

雷に打たれたような気分でした。

 

そうか、これが「先生」もやっていた洗脳手段か。

僕は今、母と妹に洗脳され、彼女たちの都合のいい人間に作り替えられようとしているのか。

 

悩み続けた時間が全くの無駄であったこと、そして母と妹が「先生」に洗脳されていることに気づいた瞬間でした。

 

そしてここから、僕は家族の洗脳と戦うことになりました。